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【ブラひろし】松本城

5月1日(月)
『ブラひろし』で今回訪れた国宝・松本城は、現存する12天守で余りにも有名な城跡です。

約25m5層6階の巨大な天守閣は、北アルプスを背景に、まるで池のような広い内堀に、その美しさを誇っているかのようです。

松本城はガイドブックを片手に、観光で訪れるだけでも充分に価値のあるスポットであることは間違いありませんが、こと『ブラひろし』で、ガイドブックに書かれてあることを曰わっても面白くも何ともありません!『ブラひろし』の城跡見学で大切なのは、城塞としての機能です。 
 
松本城は南が大手、三ノ丸が四方を囲み、二ノ丸が本丸を南・東・西と囲む少し変わった縄張で構成された平城です。堀は全て水堀ですが、湧水が至る所にあるという土地の性質からか石垣が可なり低く、松本城天守閣も一見では「小さい」という印象を与えます。 

5層の天守に低い石垣、このアンバランスさが松本城を可愛らしくも美しく演出しているのでしょう。

ともあれ城塞としての機能は、比較的大きな総構に大手と4つの丸馬出しが虎口という鉄壁さと、大手から本丸へと至る経路の難攻な作りは見事で、確りとした人数で守れば落城させるのが相当困難です。しかし松本6万石という石高には少し荷が重いような印象を受けました。あくまでも私見ですが、この御城を維持するためには少なくとも10万石は欲しいところだったでしょう。それほど守るための人員数、補修整備のための費用が嵩張る御城だということです。 
また、攻城の想定が御城の南方面の善光寺街道だったからか、搦手である北からの攻撃には弱い御城だったことがうかがえます。すなわち最終的に松本城は、大阪や名古屋方面からの守りを固める御城だったということになります。信濃の要衝の地だった松本は、時代の中で形態を変えていった御城を備える地域だったに違いありません。

石高のわりに維持管理に費用の掛かる御城を持つ松本という地は、領民達の負担も大きかった筈です。領地というのは、領民が幸せであることこそが私は大切だと思っています。 
果たして松本の民は幸せであったのか。松本城を見るとき、これが私の脳裏に木魂した言葉でした。 
ただ版籍奉還の折、多くの天守が領民の打ち壊しにあったなか松本城天守は残ったわけですから、きっと善政に護られた領地だったと思い至った次第です。 
 
松本駅を降りて大名町を歩きながら松本城に向うのが御薦めの散策ルート。 
松本城跡入城は、大手側から右手に折れて、松本市役所前の太鼓門桝形からを御薦めしたいと思います。





松本の美しい街並を眺めつつ、お腹が空いたら信州蕎麦を手繰るのも一興です。



合田 洋